180話の表紙は、リックの前に、武装したコモンウェルスのガードがずらりと並んで対峙しているシーンです。
ネタバレ
ミショーンの引っ越し
「ランス?」、「ランス?」と、ミショーンがアパートの部屋の入口から声をかけます。「中にいる。」とランスが答えます。
部屋の中に入ると、ランスがソファーに腰掛けています。
「おぉ、ワァオ、これは素敵ね。私がエローディーを連れてきたことを気にしないで貰えるとありがたいわ。なぜ、あなたの家で会いたいと思っていたとは知らなかった。」
「これは私の家ではない。君のだ。」
「何?」
「我々は君のような才能のある法律家を使うことができると言った。これは、我々がどの様に人に気をかけて面倒をみるかということだ。もし、君がコモンウェルスの法律関係の仕事を行うのであれば、これが住まいとして、我々が提供するものだ。」
「私は、法律の業務を行うことに同意した、そしてあなたはただ、住むためにこの場所を私にくれるというの?」
「そうだ。まさにその通りだ。」
「ふむ」と考え込むように目を閉じて口に手を当てるミショーン。
「そのような反応を、私は予想していなかったと認めるよ。」
「ママ、何が問題なの。」
「何かの物事が、本当とは思えないほど良い場合… 通常はその通りとなる。ランス、正直言って、これは、あまりにも良すぎて、本当であるとは思えない。」
「それについては、残念ながら、私ができることは多くない。君が、時間の経過とともにその感じが薄れていくことを願うだけだね。私の言葉が君にとって価値のあるものであることを保証することはできる。これは本当だ。」
「私はいつ入居できるの?」
「君が沢山のバッグを詰め込んでいなければ、沢山のバッグを見ていないので… 君は丁度、入居したところだ。」
「そして、君が質問してくれると望んでいたのだが、してくれなかったこと — 1階の空室を我々は君の法律事務所として提供する。
エローディーはパン屋を辞めて、直ちに法律事務所の準備を手伝うことをお勧めする… しかし、もし彼女がパン屋に残りたい場合は、我々は簡単に他の人を配属することができる。」
「考えてもみなさい。法律による取り決め(ルール)は、我々にとって重要なことだ。君は価値がある。コモンウェルスには、数人の法律家が既にいる。しかし、君の専門分野とは異なる。」
「それで?」とランスが立ち去った後で、エローディーがミショーンに声をかけます。
「あなたは、微笑むべきよ。客室が、私のアパート全体よりも大きいわ。あなたは、使わなければならない。なぜなら、私は引っ越してくるから。」
Dwightとローラの会話
ドアを開けて、部屋の中にDwightが入ってきます。「遅すぎるか?」
ソファーに腰掛けて座っているローラが、「Dwight、何について遅すぎるということ?」
「俺達(の関係)にとって、遅すぎるかということだ。」
「分からないわ。多分そうではない。私は、出ていっていないし、この数週間の間に、他の人と関係ができたわけでもない。自分の考えがまとまったの?」
「そう思う。」
「自分の中で、かもしれない。… ただのかもしれないこと… シェリーが俺を裏切って、頻繁に俺を痛めつける様にさせた事は… 彼女がリックに向けて行ったことと同じ事かもしれない。そして、それが彼女の死に繋がった。」と目を閉じて、ローラの手を握って、Dwightは言います。
「あのろくでなしの女が気狂いだと言う事実について話しているの?」
すこし、険しい表情で無言のDwight。
「Ok。Ok。言い過ぎたかしら。死者を悪く言う言葉を私が発したのは行き過ぎね。
でも、彼女は気が違っていた。」
「おれはかつて、否定的な方法に本当に集中する傾向があった。それが、人々を遠ざけた。シェリーと俺の間に起きたことは俺の間違いによるものだったと俺は常に考えていた。… しかした、そうではなかった。今、そのことは分かる。」
「それで、あなたは、もう、リックに謝ったの?」
「それは、次にすることだ。もしも、お前が俺と一緒に来てくれると、よりうまくいくかもしれないと思った。」
「それは、多分そうよ。待って。あれは、ゲートかしら?彼らが帰ってきたと思う。」
ユージン達とコモンウェルス馬車の到着
ゲートの横から、コモンウェルスの馬車が入ってくるのを見ているDwightとローラ。
「そして、彼らだけではない。」
ガードが馬車のドアを開け、中からMercerが先に降り、続いてパメラが降りてきます。
「万が一のために、軍隊を集めるのを手伝ってくれ。」
「それ、本気なの?」
「もしも、我々が必要であれば、リックは感謝すると確信している。もし、必要でなかったとしても、リックが俺に対してさらに怒ることはないと思う。」
馬車の横に立つパメラとMercerに、ユージンが声をかけます。「ここで待っていて下さい。私は、あなた方の到着を伝えてきます。」
「おぉ、それはとてもフォーマル(公式・正式)ね。私は好きよ。
あなたが、私達への紹介を準備している間、ここから眺めているわ。私達に帯同している歩兵部隊について彼に話をする時、彼らは数時間、私達から遅れていることを確実に伝えて頂戴。しかし、数時間よりも早く到着するかもしれない。
彼らは、時々かなり早く移動する。しかし、Mercer、マクスウェル、そして私は、とても弱い状況で、友好的な会話ができる準備ができている。
あれは、私達が気づかないことを望んで、私達を先に行かせるようにしたのは、感嘆に値する働き掛けだった。」
ユージンは、すこし驚いたような表情で、「おぉ、OK。ありがとう。」
ユージンはパメラを背にして、歩き出して、振り返ります。パメラは屈託のない表情で、腕を上に高く上げて手を振っています。
ユージンからミショーンのことを聞くリック
「おぉ、神様、何が起こったのだ?」、目を見開いて、非常に驚いた表情のリック。
「ああ、刀の事! 彼女は、私に渡した。彼女は、彼らがコモンウェルスと呼んでいる場所に、留まっている。彼女は、どれだけ彼女が彼らを信用しているか、刀が証明してくれるだろうと言った。」とユージン。
「彼女の娘が、そこに住んでいた。そこに住んでいる。彼女は、生きていた。彼女達は、… 再会した。」
「何?!」本当に驚いた表情で、口を大きく開けて言うリック。
「ミショーンの娘、エローディー、彼女は生きていた。そして、コモンウェルスで、元気に生活している。そのため、ミショーンも残ることにした。」
「どうしたら、そのようなことが起こるんだ?」
「数学的には不可能に見えるが、同時に驚くべき偶然だ。」
「それは、ただ… それは、素晴らしいことだ。」といつものリックに戻っています。
「はい。そうです。彼らの指導者は、あなたに会うために外で待っている。」
「外に私が行く前に、彼らについてできる限り全てを話してくれ。」と真剣な表情で言うリック。
リックとパメラの会談
馬車の前に立つリック。
パメラは、少し驚いた顔をしています。
「私がリックグリムスだ。お会いできて光栄です。」
「コモンウェルスのガバナー、パメラ・ミルトンです。」
「ガバナー?」と小声で少し怪訝そうな表情をするリック。
その時、「あなたが、リックグリムスなのね!」と言って、嬉しそうな表情で、馬から飛び降りるプリンセス。リックの所に来て、両手でリックの左手を握ります。
「あなたにお会いできるなんて、驚くべきことだわ。私は、あなたについて、沢山の事を聞いているの。あなたは、本当に素晴らしいようね。」
「ありがとう。」と少し驚いた表情で言うリック。横で、腰に手を当てて、二人を見ているパメラ。
「プリンセス!人は私をプリンセスと呼ぶわ!」
「あなたの兵士の何人かは、とても個性的のようだね。」とリックがパメラに言います。
「彼女は、あなたの側の一人と聞いているわ。」
「おぉ?それなら、新しく加わったのかい?」
「彼らが行く途中で私と会ったの!私は、ピッツバーグにいた!」と興奮気味に言うプリンセス。
「プリンセス、我々に少し時間をもらえないかな… 」
「おぉ、もちろんよ。ごめんなさい。」
面白い表情で立ち去っていくプリンセス。
「彼女は、かなり積極的ね。」
「彼女について知ることを楽しみにしている。そして、あなた達についても同様だ。あなたの場所、コモンウェルスについて、とても信頼でき感嘆すべき事柄が沢山あると聞いています。」
「私の場所ではないわ。私は、物事を運営するために任命されているだけよ。私は操縦士であって、それ以上ではないわ。
私はコモンウェルスを設立したわけではなく、ただ、私が来る前に作られていたもの改善しただけよ。」
「私もここで同じことをしたとあなたが言うかもしれないと想像しています。戦争体験についても話しを交換することを楽しみにしています。」
「あら、わたしは、幸運なことにお話できるような実質的な戦争は経験していません。」
「私も同じことが言えたら良かったと思います。」
「おぉ… 」とパメラは、少し同情気味に理解するような表情をします。
「小規模な武装した歩兵部隊がこちらに向かっていると聞いています。」とリック。
「そうです。彼らは、安全のために私と一緒に旅をしてきました。何も警戒することはありません。」
「もし、そうでしたら、あなたがあなたの側の一人を彼らの所に会いに送って頂けると感謝します。約1マイル(約1.6km)離れた所に、見晴らし場があります。我々の話し合いが行われている間、あなたが彼らをそこに待機させて頂くことを希望します。」
「本当に正直に申し上げると、私は彼らに会いに送る者の安全を心配しています。私達は、一人で移動させることを許可していません。特に知らない地域(テリトリー)の場合はそうです。」
「ここアレクサンドリアの周辺の地域は、巡回が行われ、基本的に安全であることを確約します。あなたの兵士は、大丈夫です。」
「率直に言って、私の安全を確保するために、全ての私の兵士が私と一緒に必要があるかもしれないように見えるわ。」とリックの肩越しに少し厳しい顔をして言うパメラ。
「何… 」と後ろを見るリック。
「もしも、あんた達が、俺達が無能… または脆弱だとどちらのように考えていたとしても、… それは間違いだ。」と武装した兵士達を連れたDwightが言います。
「もし、これがあなたの軍隊の能力を示す意味のものだったとしたら、あなたは逆のことを達成していることになるわ。」
「Dwight。控えていろ。今すぐだ。」
パメラの前に立ち、Dwight達に向かって、リックがDwight達について、パメラに説明を始めます。
「Dwightは、我々の軍隊のリーダーです。彼の熱意について、お詫びします。彼は、ただ我々がここで安全であることを確実にしようと試みただけです。事実、彼は問題を解決してくれていると思います。
彼の軍隊は、あなた達の一人を連れて、あなたの歩兵部隊と会う。そして、私が提案した待機場所に留まることを教えることができます。」
「そうね。私は彼らと一緒にMercerを送ることができると思うわ。」
「もちろん、私達の軍隊と一緒に一人の男を送ることにご心配なさっているのでなければ。… 」
「いいえ。彼は大丈夫だと思うわ。」
既にMercerが歩きだしてパメラの前にいます。
「Mercer?」
「はい。マダム。私は、直ちに出発する準備ができています。」
「ローラ、ヒース、そして、アニー。お前達は、俺と一緒に行く。残りはここに留まって、警戒していろ。」とDwight。
アレクサンドリア内を案内するリックとパメラの会話
「それでは、問題が解決したので、グランドツアー(コミュニティー内の主要な施設見学)はいかがでしょうか?」とリック。
「その事以外を期待していません。ご案内、お願いします。」
パメラの後について行こうとするマクスウェルを、パメラは振り返って制止します。
「正直な所、マクスウェル、私は大丈夫よ。率直に言って、私はこの一人だったら、倒すことができると思うわ。」(私一人で大丈夫だから、私のことは構わないでと言う意味です。)
「あなたは、驚かれると思います。」とリック。
「あなたが驚くほどでは無いかもしれません。」とパメラ。
「私は、注意するようにします。」
無言で二人を見ているマクスウェル。不満げです。
「どうしてあなたが手を失ったかお聞きしても構わないかしら?」
「ええ… おかしなことを聞きますね… 」
「数年前のことでした… 自分自身を、ガバナーと呼ぶ男に率いられた新しいグループに、我々は出会いました。そして、彼らは最初、とても友好的に思えました… その後すぐに、彼は私の手を切り落として、脅迫したのです。」
「神様、本当にお気の毒に思います。… 私は … それは、私の肩書をとても奇妙なものにしてしまいます。… どうか、私のことをパメラ、単にパメラと呼んで下さい。」
「問題ありません。… あなたがきまり悪く思うようにさせるためにお話したわけではないです。我々が出会ってきた人々の中にはその様な人もいたということを分かって頂きたいだけです。その様な人々と我々は対処しなければならなかったことがあります。
そのため、… Dwightの注意深い行いは、信用を間違えた場合のためであることを、彼の行動について一部は、ご理解頂けるかと思います。」
「しかし、同様に、これから直面するものについて知って頂きたい… 」
「これは、強烈ね。」
「そうなる必要はありません。あなたは、我々のことを理解するようになる。私は、あなた方のことを理解する。これでうまくいくかもしれない。
私達の製粉所をお見せ致します。」
製粉所を見学後、外を並んで歩くリックとパメラ。
「あなたは、感嘆すべき施設をお持ちですね。そしてパンは美味しかった。」とパメラ。
「最初はそうではありませんでした。適切に機能させるために、数ヶ月かかりました。ユージンが、問題を解決し、設計し、作成を手伝いました。彼は、同様に無線機を修理しました。それが、我々があなた方を見つけることを可能にしました。」
「彼は価値あるコミュニティーの財産のように思えます。」
「彼はそうです。」
「これを間違って解釈して頂きたくないのですが、私達から見ると、ここは小さいです。そして、彼の才能の利用は、ここでは限られている様に思えます。私は、ユージンのような人が、我々の資源を利用して何かできるかもしれないことに興奮しています。」
「あなたのコミュニティーの様に大きなところが、ユージンが提供できるようなサービスが必要と聞いて、驚きます。あなたのところには、ユージンのような人が既に5人はいるだろうと思っています。」
「私達のところにも独自の自由な発想ができる人がいるのは確かです。しかし、我々のいるこの世界では、考えることができる人の需要は高いです。」
「おっしゃることは分かります。」
果樹園に二人は入ります。周りでは、人々がりんごを採取しています。かごに入っているりんごをリックが取って、パメラに渡します。
「あなたは、我々のりんごを一つ、絶対に試して頂きたい。こちらです。」
「ありがとう。」
りんごを噛じるパメラ。「これは、素晴らしい!」と目を開いて言います。
「りんごは、ここでの私のお気に入りリストの上位にあります。」とリック。
「それで、あなたの家はどこですか?」とパメラ。
「私の家は、実は… あの道を下った6つ目の家です。」とリックが彼の家を指を指します。
「あれですか?あなたは、他の人達全員と同じ所にいる?あなたの家は、彼らと同じなのですか?」
「ユージンは、あなたのコミュニティーについて話してくれました。
そうです。私の家は、他の人全員と同じものです。私の行う雑務は同じです。… 私の仕事も同じです… 収入(得られるもの)も同じです。」
「ここでは、全員、平等です。」
「それは、全く道理にかなわないわ。あなたは、彼らの指導者でしょう。人々は、あなたを尊敬しなければならない。そうでなければ、この全てが壊されてしまう。彼らが、あなたの地位を羨むようなものにする必要がある。」
「私もその様に考えます。… しかし、私がしたこと、または私が持っているものではなく、私がしてきた事、私が継続していることによって、人々は私に敬意を払ってくれる。」
「これが起こる前のあなたのステータスは何だったのですか?あなたは、今、似たレベルを獲得する権利があるとは思わないの?」
「私は、小さい町の警官でした。私の家は、実は、これよりも小さかったのです。」
「そして、我々の以前の生活で築いた地位がどのようなものであったとしても、… その暮らしも一緒に無くなった。我々は、今、新しい世界の中で新しい場所を得ている。」
「パメラ、私はあなたを不快にしたくはないないが、コモンウェルスでどの様に物事が成り立っているのか全く分からない。私が聞いていることから察すると、以前、良い仕事や良いに住んでいたのであれば、単に同じものが提供される?人々は、それでOKなのですか?」
「人々は、それらのことが公平に行われていれば、OKよ。あなたは、それを問題視していると受け取ったわ。」
「私が述べたことが公平かどうかは分からない。」とリック。
「人々は、ハシゴが必要よ。彼らは、働くための何か目的が必要です。あなたは、十分な人がいないからかもしれない… しかし、その流動性は重要です。
そして、もしその流動性が全ての人に可能でなかったとしても、それが世界を言葉通り回している。我々のワーキングクラス(労働者階層)は、コモンウェルスの強力な基盤を構成している。強力な基盤なしでは、何も築くことはできない。」
「その基盤の上に何かを築くことが必要なのか?他の人をサポートするために、負担となるような運営方法をするのか?」
「それが、世界の仕組み・決まり(The Word Order)よ。常にそうだった。」
「それならば、我々は、新しい世界の仕組み(A New World Oder)が必要なのかもしれない。」
パメラは険しい顔をして無言です。
あらすじ感想と考察
ランスに呼ばれて、高級アパートの一室に入るミショーンとエローディー。そのアパートのあまりの良さにミショーンは驚きます。ランスのアパートとミショーンは、思いますが、ランスはミショーンのものだと言います。コモンウェルスでは、仕事に応じた適切な住まいを提供するとランスは説明します。
ミショーンは、あまりにも良すぎて、本当とは思えないと怪訝そうです。さらに、ランスは、同じアパートの建物内の空室となっている1階は、ミショーンの事務所としてセットアップされること、エローディーはパン屋の仕事を辞めて、事務所で一緒に働くことを提案します。
ランスが去った後、エローディーは、自分も引っ越してくるから、ここに一緒に住みましょうと言います。良い話には裏があるものですが、現時点では、ミショーンは本当に高待遇でコモンウェルスに迎え入れられた様子です。
173話で、リックから指導者の座を奪おうと考えるDwightに対して、ローラはDwightにはついていかないと絶縁を匂わせる辛辣な言葉を浴びせて立ち去りました。その時から数週間経過し、今回、Dwightは、ローラと改めて話し合いをします。Dwightは、シェリーが死んだことは、彼女に問題があったのではないかという考えを伝え、ローラは納得して、二人は仲直りします。ローラは、Dwightにリックに既に謝ったか尋ねます。Dwightは、ローラに一緒に付いて来てもらって、リックに謝罪することを考えていると言います。その時、ゲートに一行が戻ってきたことに、ローラが気付いて、二人はゲートのところに行きます。
ゲートから、兵士が帯同する馬車が入ってきたのを見たDwightは、ローラに兵士を集めてくるように言います。ローラは、Dwightに確認しますが、Dwightは、必要であればリックは感謝するだろうし、必要がなかった場合でも、これ以上自分に対して怒ることはないと言います。
馬車から降りたパメラ達に、ユージンは到着をリックに伝えるので、待っていてほしいと言います。パメラは、ユージンに歩兵が後から来ることを彼に伝える時に、彼らは数時間遅れてくる見込みだが、それよりも早く到着する可能性もあると伝えるようにと言います。そして、Mercer、マクスウェル、そして、自分は、とても弱い立場になるので、友好的に話ができるだろうと言います。そして、ユージンが歩兵を残して馬車を急がせたことについても褒めます。
179話の終わりに、マグナにユージンは、パメラ達が歩兵を残して先に進ませるようにしたことの意図を気付いていないだろうとの見込みを伝えましたが、パメラはユージンの意図を分かった上で、あえて、誘導されて馬車を先に進ませたことが分かりました。パメラは、流石に鋭いです。まあ、気付かない方がまぬけとも言えます。
ユージンがミショーンの刀持って、リックに会いに来た時、刀を見て、リックは、本当に驚いた顔をして、一体何が起こったのだとユージンに聞きます。ミショーンに一体何が起こったのだと思うのは当然のことだと思います。ユージンは、ミショーンからのメッセージを伝えます。そして、ミショーンの生き別れになっていた娘が生きていて、コモンウェルスに住んでいて、そして、彼女達は再会を果たした。そのため、ミショーンは残ることにしたと話します。リックは、その様なことが可能なこと(現実に起きる)とは信じられないと驚きます。ユージンも、確率的には、本当に不可能に近く、驚くべき偶然の産物だと言います。リックは、素直に喜びます。
リックにとっては、コモンウェルスの指導者が一緒にアレクサンドリアに到着したことよりも、ミショーンが帰ってこずに、彼女の刀を手放したことに大きな驚きを覚えたところが注目されます。リックは、気持ちのスイッチを切り替えて、訪問してきている指導者と会う前に、コモンウェルスについて、できる限りの全てを教えてくれとユージンに言います。
ユージンから話しを聞いた後に、リックは馬車の前に立っているパメラ達の前に姿を現します。この時のシーンのリックの後ろ姿、全体の構図は表紙と同じです。表紙では、リックが対峙しているのは、武器を持って並んでいるコモンウェルスの兵士達ですが、実際のストーリーでは、パメラたちです。横にいるガードは直立しているだけです。
パメラは、リックを見て驚いた表情をしています。彼女の想像していたコミュニティーの指導者のイメージと大きく異なっていたためと思われます。リックが、自己紹介をして、パメラも自分はコモンウェルスのガバナーだと自己紹介をします。『ガバナー』と言う言葉にリックは悪い思い出があります。思わず、『ガバナー?』とつぶやきます。
両コミュニティーの指導者の自己紹介と少し緊迫する雰囲気を破ったのは、プリンセスです。嬉しそうに、「あなたが、リックグリムスね!」と言って馬から飛び降りて、リックに挨拶をします。リックの話をたくさん聞いていて、あなたは素晴らしい人だと思っていると言います。プリンセスにリックのことを話したのは、全員だと思いますが、特にマグナが沢山話しをしたのだと思います。
リックは、プリンセスが、コモンウェルスの兵士だと思いますが、パメラはリック達側だと言います。プリンセスは、ピッツバーグにいて、一行に加わったと話します。プリンセスの割り込みによって、緊張が解けた感じになりました。また、プリンセスがリックについて沢山の良い話を聞いていると話したことは、パメラにとってもリックについての参考材料となる情報になっています。
少し和らいだ雰囲気の中で、パメラはコモンウェルスは自分のものではなく、自分はただ運営するために任命されただけだ。自分は操縦士以上のものではない。そして、コモンウェルスを設立したのではなく、到着した時に作られていたものを改善しただけと言います。このパメラの説明は、リックの経験と同じところが多々あり、共感できるところも大いにあります。パメラの発言は、正にリック自身にも当てはまる説明です。リックが戦争体験についても話を交換したいと言いますが、パメラは戦争と言えるような話は体験していないと答えます。この点に関しては、二人の経験は大きく異なるところです。パメラは、リックが戦争と言うような事を体験していることに少し驚いています。
ここから、二人は少し繊細な話題であるコモンウェルスの歩兵部隊がアレクサンドリアに向かってきていることについて話します。パメラは、旅の安全を確保する目的であり、警戒することはなにもないと言います。リックは、そうであるならば、この場にいる一人を歩兵部隊の所に送って、会談が行われている間、1マイル離れたところにある見晴し場に待機するようにして欲しいと言います。パメラは、知らない地域で一人を送ることは危険があり、何色を示します。リックは、アレクサンドリア周辺は、巡回が行われていて、基本的に安全だと言います。パメラの危惧は最もな事です。
そこに、完全武装したDwightが兵を連れて現れます。Dwightは、パメラ達にアレクサンドリアは脆弱だと考えるのであれば、間違いだと言います。パメラは、怯える様子は見せず、軍隊の能力を誇示するような意図の場合は、逆効果となると言います。リックは、Dwightに控えるように厳しく言う一方で、パメラにDwightの紹介をし、Dwightの振る舞いは安全を確保するための熱意によるもので、そのことを詫ます。そして、結果的には、Dwightが問題を解決してくれることになったと話します。Dwightの部隊が、コモンウェルスの兵士を連れて、後から来る歩兵部隊のところに行くことで、兵士の安全を確保して、さらに待機場所に案内することもできると提案します。
このリックの提案をパメラは受け入れて、Mercerを送ることができると答えます。リックは、念の為の確認として、一人の男をリック側の兵士達と一緒に連れて行くことが心配でなければと言いますが、パメラは心配していない。彼は大丈夫でしょうと答えます。パメラからの最終的な指示を受ける前に、Mercer既に歩き出していました。「Mercer?」と言うパメラ(指示ではなく、クエスチョンマークが付く質問調になっています。)に対して、「はい。マダム。私は直ちに出発する準備ができています。」と答えます。
このMercerの行動は、さりげないものですが、Mercerの気持ちを絶妙に示していると思います。コモンウェルスでは、指導者層の命令に従順に従うことが絶対的なルールとなっています。指導者の家族が身勝手な行いや要求をしても明確に拒否することはできません。社会の歯車として道具のような扱いを受けているとも言えます。しかし、目の前で起きたアレクサンドリアの軍隊のリーダーは、自発的に行動し、しかも、指導者のリックはDwightをかばいながら、Dwightの紹介と彼の熱心な行動をコモンウェルス側に詫た上で、即座に問題解決の提案をしました。自分の指導者とスタイルとは大きく異なるアレクサンドリアの指導者、リックとDwight達に対して、思うところがあったと思われます。このMercerの思いは、将来のストリー展開における伏線となっていると思われます。
リックの行動と提案は、Mercerだけでなく、パメラも感心させられたと思います。到着時のユージンとの会話やリックへの自己紹介の後の話の内容などから、パメラは経験豊富な指導者であり、頭脳も明晰で状況分析力や決断力にも優れていることが明らかです。
リックがコミュニティー内を案内することを提案すると、即座に同意します。マクスウェルもパメラに付いていこうとしますが、パメラはリックと二人で行くと言います。不満げなマクスウェルと短時間で意気投合するリックとパメラが、対象的に描かれています。
パメラは、リックに手を失った理由を聞きます。聞きづらいことを単刀直入にするスタイルであることが分かります。リックは、過去に出会ったガバナーと自らを呼ぶ男にいきなり手を切断されたと説明します。結果的に、パメラが質問したことによって、『ガバナー』と言うタイトルがリックにとって嫌な過去に関連しているものだということ、そして、リック達のコミュニティーが、外部のコミュニティーやグループとの接触や戦いで大変な思いをしていることの一端を知る機会をパメラが得ることになります。
リックは、パメラに製粉所の内部を案内します。製粉所は、ユージンが設計、製作、建設に携わっていること、彼が無線機を修理して使えるようになったことが、コモンウェルスと連絡をとるきっかけとなったと話します。パメラは、ユージンの能力と才能をコモンウェルスで活用したいと提案します。リックは、コモンウェルスにはユージンのような人物が既に何人もいるだろうと言いますが、パメラはこの様な世界では、発明や柔軟な発想ができる人物は常に高い需要があると述べ、リックもそのこと(高い需要があること)については同意します。
リックは、住民達がりんごを収穫中の果樹園に、パメラを連れていきます。パメラは、りんごをとても美味しそうに食べます。ここで、パメラはリックにどこに住んでいるのか聞きます。リックは、自分の住んでいる家を指でします。他の家と同じ家に住んでいることに驚くパメラ。リックはユージンからコモンウェルスは、階級社会であると聞いていると言い、アレクサンドリアは全てが平等なコミュニティーであると述べます。パメラは、それは機能しないと言います。コミュニティーの指導者は、尊敬されなければ、崩壊する。人々は、指導者を敬う必要があると述べます。それらの点については、リックも同意した上で、人々はリックが行ったことや持っているものではなく、これまで行ってきたこととこれからも続けていくことに対して、敬意を持ってくれていると言います。
少し厳しい表情でパメラは、前の仕事は何だったのか?そして、以前と同じ暮らしを獲得するのは正しいと思わないかと聞きます。リックは、小さな町の警官で、住んでいた家は今よりも小さいと答えます。さらに、過去の実績は、過去のもので、新しい世界の中に新しい場所を獲得したと述べます。これはリックの考え、思想を代表する発言です。ここから二人の政治的な考えについての相反する意見衝突となります。リックは、パメラにコモンウェルスの様な階級制度が機能するか全く分からないと述べます。そして、過去の社会的地位が高ければ、同じものを得られるということについて、人々が承服しているのかと聞きます。
人々は、物事が公平に行われていれば、OKだとパメラは答えます。パメラは、人々はハシゴが必要である。上の階層に行くためには、懸命に働いてハシゴを昇る必要がある。それが強固なコモンウェルスの基盤となる。強い基盤がなければ、何も建てることはできない。とパメラは述べます。リックは、基盤の上に築く必要があるのか?他者をサポートすることを阻害するものを廃止すべきではないか?と言います。全く逆の意見です。
このリックの意見に対して、パメラは「それが世界の仕組み、World Orderだと言います。リックは、それならば、新しい世界の仕組み、New World Orderが必要かもしれない。このリックの言葉が、コモンウェルスとの交流開始編の全6話のタイトルになっています。
タイトル使用されているOrderの持つ意味について
orderは、英語では様々な意味を持ちます。 sequence, arrangement, organization, disposition, system, series, succession; grouping, classification, categorization, codification, systematization. これらの言葉には仕組み、クラス分け、分別というような意味を持つ言葉が含まれています。
平和を維持することを含んだ言葉の意味でも使われます。peace, control, law (and order), lawfulness, discipline, calm, (peace and) quiet, peacefulness, peaceableness.
社会の仕組みについての考え方の相違について
この様な社会の仕組みについての意見の相違は常に起こります。パメラが説明した仕組みや大人数となるコミュニティーでは、社会階級制度が必要となるという考えについては、ユージンも一定の理解を示していました。(少なくとも、社会の仕組みと構造を機能させるアプローチとして機能するという点で、ユージンは理解しています。)ミショーンとマグナの意見の衝突も、パメラとリックのやりとりと似たところがあります。どちらのアプローチも一長一短があります。
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Kindle版は、1話単位で購入できます。価格も比較的廉価です。
ストーリーを楽しみながら、英語に馴染む素材としたり、英語の勉強を兼ねて読むのも一つの選択肢です。その様な楽しみ方のサポートをできればと考えて、本サイトでも1話ごとのあらすじと感想、考察の記事を投稿しています。
英語版のペーパーバック、またはKindle版を入手して、本サイトの記事をコンパニオンとしてご利用頂ければ、幸いです。
180話で登場する英語のイディオム
Time and (time) again
ローラとDwightの話し合いの中で、Dwightがシェリーとの間で過去に起きたことについて、”… The things that made Sherry betray me and hurt me time and time again... “と言う表現を使っています。
time and (time) againは、”very often”と言う意味を持つイディオムです。日本語では、「(とても)頻繁に(起こる)」と言う意味に該当します。