187話の表紙は、少し険しい表情で目を閉じているリック。後ろに離れて背を向けたミショーンが立っています。タイトルは、”The Road Back”です。
ネタバレ
コモンウェルス緊急集会
コモンウェルスの広場に人が集まっています。スピーチを行っているのは、パメラです。
「皆様、予告なく突然の連絡にも関わらず、ここに集まってくださったことに感謝します。」
「私は、ここで良いお知らせをお伝えしたかったのですが、皆さんご存知の通り、過去数週間の間に、我々のコミュニティー内に緊張が生じていました。これらの事が手にを得ない状況になることを危惧していました。残念ながら、昨晩、私の懸念は現実のものとなりました。」
「ここでは、ニュースが素早く伝わり、事柄が歪めてしまうことがあります。それを避けるために、本日皆さんにお集まり頂きました。」
「できるだけ明確にお伝えするように致します。昨晩の夕刻、暗殺の試みがありました。」
「そして、リックグリムスが、私の命を救ってくれました。」
「暗殺を試みたのは、リックのグループのDwightでした。彼は、我々の暮らしの仕組みについて理解していない危険思想の持ち主でした。我々に対する反抗の気持ちが、彼の内部で沸騰していました。」
「私は、彼の行動が、リック、または彼のグループの他の人に使用されることを望んでいません。彼らは、依然としてここで歓迎されております。
最後に、私はリックに少しお話して頂きたいと思います。」
壇上にリックが登り、パメラが紹介します。
「コモンウェルスの皆さん、こちらが私の救世主、リックグリムスさんです。」
「ガバナーミルトン、ありがとうございます。
何をお話すれば良いのか分からないのですが…
今は難しい状況にあることは存じております。コミュニティーのある分野については、痛みすら伴う状況です。そして、2つに分裂し、人々はどちらかの側につき始めています。
危険な状況に向かっているかもしれないと私がお話した時には、私を信じて頂きたい。私は、コモンウェルス内においてくすぶり続けている事に対して平和な解決方法を見つけるために、私の役割において何でもする所存です。」
人々の中にいるMercerは、怒りが籠もった険しい表情で、リックのスピーチを聞いています。
マグナのSiddiqへの提案
アレクサンドリアの会議室にいるマグナ。Siddiqが入ってきます。
「マグナ、俺を呼んだかい?」
「あら、Siddiq。ええ。呼んだわ。こちらに来て頂戴。」
「あなたにコモンウェルスまで行ってきて欲しいの。」
「何?なぜ?」
「私は、何が起きているのか知りたい。彼らは、(本来であれば)現時点までに既に戻ってきているはずだと思っている。そして、私は心配している。
問題は、ここは人員に余裕がない。それで、あなたにヒルトップに行ってきてもらいたいの。マギーは、あなたと一緒に行く人を提供してくれると確信している。」
「あぁ、俺は完全にそれはできる。何時、俺に行って欲しいんだ?」
「今すぐよ。」
Mercerとプリンセスの会話
Mercerが彼のアパートに戻ってきました。
「ここで、何をしているんだ?」
「ごめんなさい。私、ここに物を残していたので、取りに来ていたの。完全に侵入してしまったわ。言い訳はしない。ごめんなさい。
分かってもらえれば助かるわ。」とプリンセス。
「お前は、コモンウェルスを出ていくのか?」
「ええ。状況が悪化してくる時、私はうまく対処することができない。起こっている全てのことから、当分の間、ここは酷い状況になることは明確になっている。だから、私は本当にここにいるべきではない。」
「分かった。もう少し、具体的に説明してもらえたらありがたいと感じているが、分かった。」
ため息をついてから、「座って頂戴。」とプリンセス。
「私は厳しい生活をしてきた。ええ、『誰もがそうだろう?』って思うわよね。でも、私の言う意味は、このことが起こる前のことよ。」
「私の父は、私が小さかった時に出ていった。それは、本当にショックだった。その後、私のママは、再婚した。その男は酷い義理の兄を連れてきた。彼は殆ど大人だった… それで、突然、二人の男がママと私の所に引っ越してきた。そこから状況はさらに悪くなった。」
「私は、模範的な子供ではなかった… 私はあれこれする子供だった。何と呼んでも良いけど、とにかく私はそうだった。新しい義理の父が、あれこれと新しい決まりを作ったりしたけど、守らなかった。そして、私は罰をたくさん受けた。」
「しかし、それは普通のものではなかった… あいつら、私の義理の家族、二人両方は、一緒になって、私を縛り付けて、クローゼットの中に閉じ込めた。」
同情的な目で黙って聞いているMercer。
「やつらは、私を何時間もそこに閉じ込めたままにした… 時々、私はパンツにおしっこをした。それは、ただ、奴らを更に怒らせるだけだった。」
「奴らは、私を痛めつけた… 一人が疲れると、もう一人がのしかかってくる。」
「私のママは、気にしていないみたいだった… 彼女は、もう一人ぼっちでないことがただ嬉しかったから。
私は、一人でいるのが嫌じゃない。
だから、それが私の生活… 私の全ての生活だった。そして、これが起こった… それはさらに悪いことだったと私も認める。」
「そんな感じで成長していったから、いろいろ変わった。ほとんどの人には男の人に見えるのが、私には邪悪な怪物に見える。それは、実際に男達が死んで、邪悪な怪物として蘇るずっと前のことよ。
それは辛いことだった。あなたは、邪悪ではない何かに見えた… 私達があれらのデッドを全て殺した時に、あなたはヒーローだった。」
「だから… それが私の生きていた中で長い間続いたから… 私の生活に暗いものを入れることはさせないようにしている。だから、私はできるだけ元気なように振る舞う… 幸せに思ったら、他の人は少し引くかもしれないけど、喜んでもらえるかもしれないと思う。」
「だから、私はここにいることはできない。状況が悪くなったり、悪くなりそうに思えたら、私はママのようにはならない。」
「私は、むしろただ一人の方が良い。」
「だから… お前は去るんだな?」とMercer。
「そうよ。」
「俺に何かできることがあったら言ってくれ。」
「ないと思う。ないわ。ごめんなさい。あなたは良い人。でも…. ないわ。」
ソフィアとジョシュのデート
ヒルトップの中を、ソフィアとジョシュが並んで歩きながら話をしています。
「私は、私の本当の母親のことを今、殆ど憶えていない。それは、公平ではないわね。私は彼女のことは覚えている。でも、それらの思い出はとても辛いことと結びついているので、私は考える(思い出す)ことを遮断しているの。
それで、そう、私の人生の殆どは、マギーが私にとっての母になっている。少なくとも私が思い出したいと思う部分の全てがそうよ。」
「それは、クールだ。君のお母さんが、この場所の全てを運営しているなんて、信じられないよ。」
「ごめんなさい。私の寂しい思い出を持ち出すつもりはなかった。最初のデートの会話には全く適していないわよね。」
「冗談を言っているのかい?両親と僕は、この2年間路上で生活していた。ここに辿り着くまで、僕たちは必死だった。僕たちは、スキンをマスクとして着用する人達と一緒に生活する予定だった。
もしも、寂しい思い出について話をしないのであれば、それ以外に何か話すことがあるかい?」
「ええ、それは本当ではないわ。」
「だったら、あなたとあなたの両親がここに来る前に、どんな酷いことが起きたのか話して頂戴。」
カールとリディアの会話
カールが窓からソフィア達を見ています。
「なぜ、あなたはそんな感じで微笑んでいるの?」
「ソフィアのことだ。」
険しい顔をして、リディアがカールに聞きます。
「あらそう?今、ソフィアがあなたを喜ばせてくれているの?」
「何?!違う。そんなんじゃない。そんな意味で言ったのではない。」
「彼女は、最近、本当に孤独だった。しかし、彼女はあの新しい少年、ジョシュとデートしている。彼らは楽しそうにしている。」
「俺は嬉しく思っている。」
「あなたは、彼女のことを愛しているでしょ?」
「うん、そうだ。友達としてね。
リディア、お願いだ… 誤解しないでくれ。君に対しての想いとは違うものだ。」
「それは特別なんだ。」
「そうなの?」
「ソフィアと俺は、一緒に成長した。俺の一番古い思い出は、彼女と一緒に遊んでいるもの、一緒にかくれんぼをしているものだ。
結びつきがあるのは、おれは否定しない… しかし、それは友情だ。分かったか?」
「君と俺が持っているものは、… ソフィアと一緒に持つことができないものだ。俺の中には、暗いものがあるのを分かっている。俺がしてきたことを分かっている。
俺が奪った命… 俺が原因を作った痛み。これまでに俺はとんでもないことをしなければならなかった。君と一緒だ。
君を見て、そして、君がしてきたことを知って、しかし、俺は気にしない… むしろ、君の中に良いものがあるのが分かる。俺と同じだ。君は、俺がこれまでしてきた事、どの様な人間か分かっている。それでも、君は俺を… 分かってくれる。」
俺達の間には理解がある… なぜなら、俺達は、両方共、怪物(モンスター)だからだ。」
「あなたは、私が… モンスターだと思うのね?」リディアは、目に涙を浮かべながら、カールに言います。
「リディア、お願いだ。」
リディアは部屋から飛び出していきます。
Mercerとローラの会話
Mercerが、ウォーカーズと戦っています。Mercerの前にいたウォーカーの頭を銃弾が通過します。
撃ったのはローラでした。「Mercer、全て大丈夫?」
Mercerは、息を切らしています。「何か用か?」
「私達はお互いに知り合いではない。でも、あなたは不満が多量に蓄積していて、それを吐き出したいように見えるということがどうしても気になってしまうの。」
「何?」
「もしも、あなたがここで起きていることについて我慢がならないと思うのであれば、私達は、両方共、同じことで不満を感じているように思うわ。」
「その不満を良いことに使うことに興味はあるかしら?」
「… かもしれないな。」
ミショーンとリックの会話
アウトサイドのテーブルでリックがコーヒーを飲んでいます。ミショーンが近づいてきます。
「それで済まないと分かっているけど、ごめんなさい。」
「私は間違いを犯した。その事を私は分かっているということをあなたに知って欲しい。」
「しかし、それがDwightを甦らせることにはならない。」
「座って良いかしら?」
「座らせてもらうわ。」
「私は、悪い状況を作った。それは事実よ。しかし、あなたは、Dwightの行動について、私のせいにすることはできない。または、少なくともそうすべきではない。
あの男は、少なくとも暴発しがちな大砲だった。以前から、彼は既に過剰の反応や過激な行動を起こしてきた。そして、それが悪化してきていた。
それほど前ではない時に、彼はあなたに銃を向ける側にいたことを覚えている。だから、行動パターンがあって、それは私が大きく関与していることではないことを伝えたい。」
「すまない。」
「何?はっきり聞こえなかったのだけれど。」
「ミショーン、男(彼)は死んだ。」
「そして、それは避けられなかったと私は言っているのよ。あの男は、とっくに境界を超えていた。」
「私がこのテーブルに来たのは、物事がどれ程異なっているかという事を思い出すためだった。個々の人々がここに到達するまでどれだけかかった、そして、どれだけの犠牲を払ったかについてだ。
我々は、新しい人に出会ったり、新しい場所に移動した。そして、それが衝突を生み出した。しかし、ここのような事とは全く違う。
つまり、もし、私が、または、私自身でなくても、あまりにも厳しく追求しているように感じたとしたら、それは私が既にこの場所についての責任を感じているためだ。ここの人々の持っているものを混乱させるようなことはしたくない。
もしも、我々がここで上手く機能させることができれば、通常に戻る方向に向かっているということだ。」
「OK。全て、それらは全てあなたに向けられている。なぜなら、あなたが正しいからだと思う。」
ヒルトップに来たSiddiq
ヒルトップの見張り台の所で、Eduardoともう一人の男が話しをしています。
「もし、ダンテがマギーのような女性とくっつく事ができるのであれば、俺も希望が持てるということを言っているだけだ。」
「おい、あれは何– 」
Eduardoとガードは、槍を構えて、「そこで止まれ」と言います。
「Eduardo?! 俺だ! Siddiqだ!
近づく前に、信号を送ったぞ。見ていなかったのか?」と馬に乗ったSiddiqが両手を広げて言います。
「ああ。すまなかった。入ってくれ。」とEduardoはSiddiqに言い、隣の見張りの男に向かって、「何やっているんだ?お前が見張っていたと思っていた。」
「分からない。最近平穏な状態が続いていたので… うっかりしていた。」
ヒルトップで会議
マギー、ジーザス、アローン、ダンテ、ブリアナがSiddiqと話し合いをしています。
「私はマグナの考えに同意するわ。リックがコモンウェルスに言ってから、何も聞いていないことをとても心配している。だから、あなた達の誰かにSiddiqと一緒に行って頂きたいと思う。
行くことで、どんな事に巻き込まれるか分からない。だから、これは完全に自主的な判断に任せる。もしも、あなた達の誰かが希望してくれたら — 」とマギーが言った所で、「私は、参加したい。」とジーザスとアローンが声をそろえて言います。同時に同じことを言った後で、お互いに顔を見合わせて微笑みます。
「そうだ。」とジーザス。「我々は行きたい。」とアローン。
「俺は、壁の外側で沢山の時間を過ごしてきた。俺は役立つと考えている。だから、おれも、この役目に自主的に参加したい。
それは、もちろん、君が僕なしでも我慢できるならだ。」とダンテ。
「なんとかするわ。」と思わせぶりな顔で言うマギー。
「酷いな。」とダンテ。
「Siddiq、あなたはコモンウェルスの地域構造と警備を知っているわよね。安全な離れた距離から、観測することは可能かしら?
これをできるだけシンプルに私達は行いたいと望んでいる。」
「あそこは、とても開かれた場所にある。突然、何か変化が起きたら、何がが起こっていると分かるだろう。」とSiddiq。
「OK。それなら、それが計画よ。馬に乗って、見に行ってきて頂戴。OKそうに見えるのであれば、中に入ってみて。何か悪い状態になっていたら、直ぐにここに戻ってきて。
シンプルにしましょう。」
「OK。クールだ。俺達のお別れの挨拶を始めよう。」とダンテ。
Siddiq、ジーザス、アローンが馬に乗るところです。マギーがダンテに、「あっちでは、自分自身に気をつけるようにしてね。」と言います。「それが、俺の最優先順位になるよ。」
後ろからカールが、馬を連れてきます。
「もしも、俺の父さんになにか問題がある可能性があるなら、俺は行く。そこに行くだけだ。」とカールがマギーに言います。
「もしも、あなたのお父さんが問題に巻き込まれていたら、彼が私に求めることは、その問題にあなたを送りつけないことよ。私は、本当にあなたはここに留まるべきだと思う。」
「あんたが俺を縛り付けて閉じ込めない限り、おれは行く。だから、あなたは、俺を縛り付けるか?」
「いいえ。」
馬に乗ろうとするカールにリディアが声をかけます。「あなたは出かけるの?」
「そうだ。」
「OK」
「リディア、待って。」
「君は俺を見てくれた。… 俺を見ることができたのは、君だけだ。俺が自分の傷を隠すのを止めたのは、君が理由だ。今、それは皆が見てくれる理由となっている。
君は、俺に自分に対する自信を持たせてくれた。
生き残るために俺達がしてきた事、俺達両方がした事すべてが終わった後、… 良く分からないが … 時々、人々が俺達のことを怪物(モンスター)に見えるのではないかと心配になる。
しかし、俺達は、醜いことを経験してきたことをお互いに理解し合うモンスターだ。… そして、俺達両方の本当のところが分かっている… そしてそれが… 俺を普通に感じさせてくれる。」
「私は、あなたにとってそんな様なモンスターでいられるのは嬉しいわ。」
カールは黙って柔らかい表情で見つめます。二人はおでこをくっつけて、和解します。
ガードのロッカールームにて
大勢のコモンウェルスのガード達が戻ってきて、ロッカールームで着替えをしています。
「まったく、とんでもない日だった。」
「最近はいつもそんな感じになるように思う。」
そこに、Mercerが来て、ガード達に声をかけます。「今日が良い日だった者は、誰かいるか? NOか?いないと思っていた。おれも良い日ではなかった。」
「最後に良いと思った日を思い出せるやつはいるか?ここコモンウェルスで、良いところがあるのは知っている。ここに来る前に経験したことよりも、良いのは分かっている。
しかし、この場所がどれだけより良いものにすることができるか分かるか?
毎日毎日、俺達は汗をかき、懸命に働き、そして、すり減らされる… なぜだ?」
「ガバナーミルトンと彼女の友達のために、お前達の命を賭けることが好きなやつはいるか?」
ガード達は、皆黙って聞いています。誰も真剣な目をしています。
「俺は、そうは思っていなかった。」
「そうであれば、なぜ俺達は、彼女らに力をもたせているんだ?彼女らの力は… 俺達だ。彼女らは、高い安全な所に座って、俺達を見下ろしている。
そのような仕組みである必要はない。俺達は、新しいより良い指導者に運営させる。
俺達は、それを素早く平和に行うことができる。俺達はできる — 」
Mercerの後ろから、「おお、Mercer… 」と声がかかります。武装したガードを連れたランスが来ました。「ガバナー・ミルトンは、君に大いに失望することだろう。」
あらすじ感想と考察
186話で、ミショーンのアパートに呼ばれたリックとDwightが、話し合いをしている時にパメラがガードを連れて乗り込んできました。Dwightは、逆に銃をパメラに突きつけて引き金を引こうとしますが、寸前の所で、リックがDwightを撃ってパメラは助かりました。Dwightの遺体の安置場所で、リックはミショーンがパメラを呼んでいたことによって、究極の選択を強いられ、Dwightを死なせることになってしまったことを強く叱責します。
187話は、翌日、住民達を集めた緊急集会が行われているところから始まります。パメラは、暗殺未遂が発生した事、それを行おうとしたのはDwightであり、さらに暗殺からパメラを救ったのは、リックだったと話します。パメラに紹介されてリックは壇上に乗って、短いスピーチを行います。リックは、コモンウェルス内にある衝突の危険性を平和的に解決するための手段をできる限り探すと言います。大衆の中でスピーチを聞いている怒りに満ちた表情で聞いています。
Mercerは、牢に入っていたDwightをリックが諭している話を聞いた後で、リックに対して、コモンウェルスの指導者はリックになって欲しいと言う希望を告げます。(詳しくは、185話の後半をご覧下さい。)リックは、Mercerの話を聞いて、Dwightの考えが正しいのではと思うようになっていました。しかし、その話をミショーンにしてしまったことで、ミショーンがパメラに話をしたため、悲劇が起こりました。
リックが、Dwightを究極的な方法で止めて、パメラと並んで壇上に登っていることが、Mercerとしては許せない、釈然としない気持ちになっていることを表わしています。
アレクサンドリアでは、リック達を心配するマグナがSiddiqにコモンウェルスに行って様子を見てきて欲しいと頼みます。マグナは、アレクサンドリアの人員は余裕がないので、ヒルトップに行って、マギーに一緒に行ってくれる人を頼むように提案します。このマグナの提案は適切です。マグナは、優れたリーダーの資質を持っていることを示しています。
Mercerが、彼のアパートに戻ると、プリンセスがいました。プリンセスは、いくつかの物をおいていたので、取りに来たと言い、無断でアパートに入ったことを謝ります。Mercerは、プリンセスがコモンウェルスを去ることにしたのかと聞きます。プリンセスはそうだと答え、コモンウェルスは状況が酷くなりそうなので、去ることにしたと話します。Mercerは、プリンセスの説明に一定の理解を示したものの、できれば具体的に理由を話して欲しいと控えめに言います。
プリンセスは、少し躊躇した後で、彼女の過去を話します。彼女の父親は、プリンセスが小さい時に出ていき、母親が再婚した相手の男と既に成人に近い連れ子の男から、酷い虐待を受けていたことを告白します。そして、母親は、プリンセスが虐待されていることに関心を示さず、自分が孤独でないことに満足していたと話します。その様な過酷で辛い過去を経験したことが、プリンセスの個性的な振る舞い方、人との接し方に影響を与えていると語ります。
パメラの息子セバスチャンが、Yumikoに無理やり誘って、止めに入ったマグナを突き飛ばした時、プリンセスは躊躇せずにセバスチャンやガード達と戦いました。(詳しくは178話をご覧下さい。)女性に暴力を振るう男を許さないのは、彼女の過去が関係していることを表しています。また、プリンセスがウォーカーズに襲われた時に、直ぐに駆けつけて、一緒に戦ってくれたMercerに惹かれたことも分かります。このまま、コモンウェルスで暴動が発生したりした場合、彼女は躊躇なく行動を取ることは確実のため、状況がこれ以上悪化する前に出ていくことにしたことは、彼女にとって選択の余地のないものであることを示しています。
ヒルトップでは、ソフィアが新しく住民に加わったジョシュと初デートをしています。二人を見て、カールは微笑んでいます。リディアが、カールが微笑んでいる理由を聞くと、カールはソフィアについてだと答えます。リディアは、嫉妬して怒ります。カールは、ソフィアは小さい頃から一緒に過ごしてきた特別な友達であること、リディアとの関係のようなものにはソフィアとはならないと説明します。そして、カールとリディアは二人共、暗い過去があり、これまでしてきたことをお互いに共有し、理解し合っていると話します。そして、俺達二人はモンスターだと言う表現で説明をした時、リディアはカールが自分を怪物だと思っていたと解釈して部屋から飛び出していきます。
Mercerが憂さ晴らしするようにウォーカーズ達と戦っている所に、ローラが現れます。Mercerは、ローラに対して不信感を表しますが、ローラがMercerが不満が鬱積していることを見抜き、その不満を良いことに使うことに興味はないかと聞きます。Mercerは、ローラの提案に興味を少し示します。この後の会話は、明らかになっていませんが、後で起きるMercerの行動に関係がある可能性が高いです。ローラは、リックに敬意を持っていますが、愛するDwightを失ってしまい、彼女としては何もせずにいられない状況になっていると思います。
リックがカフェでコーヒーを飲んでいると、ミショーンがやってきます。ミショーンは、リックに謝ります。ミショーンは、悪い状況を作ったことについては、自分に日があることを認めますが、Dwightの行動について彼女を責めることはできないと言います。さらにDwightは、壊れた大砲(loose cannon: 手に負えない人物と言うような意味で使われます。)であり、彼の行動はどんどん極端になってきていたこと、リックに銃を突きつけたこともあることなどを挙げて、その様な彼の行動に自分は責任はない。更には彼の死は避けることができなかったと言います。
ミショーンは、リックには謝りましたが、Dwightの死に繋がる行動は自分には責任はないこと、Dwightの負の面をリックに強調しています。リックは、Dwightの良い所も十分に分かっています。ミショーンもそうだったと思いますが、彼女はすっかり変わってしまったことが、今回のミショーンの言動などからも明確です。共に戦ってきたかつての同士であるDwightに対して、あまりにも配慮に欠ける発言だと思います。
リックとミショーンは、表面上は会話もしており、溝も埋まったとミショーンは思っているところもあるようですが、リックの気持ちと考えとの溝は更に深まったと思います。表紙の絵の状態がそれを表わしています。表紙の絵は、時として、ストーリーで起こっていることとは異なる描き方をする場合もあるのですが、今回のものはストレートにリックのミショーンに対する気持ちと関係を表していると思います。
Siddiqはヒルトップを訪問して、マグナからの伝言をマギーに伝えます。マギーは、マグナの期待(予想)通り、コモンウェルスに様子を見に行くことに賛成します。マギーは、コモンウェルスに行った後、戻って来ず、未だに連絡もないので、リックのことを本当に心配していた事が分かります。ただし、今回の任務は不確定要因が多いため、誰かを指名して頼むのではなく、自発的な参加希望者はいるかと聞きます。それに対して、即座にジーザスとアローンが行きたいと言う意向を示します。コモンウェルスの状況を探ったり、調べたりする任務には、この二人は極めて適格だと思います。さらにダンテも、立候補します。
マギーの計画は、コモンウェルスの近くに行って、状況に変化が起きているか遠くから見てみる。もしも、異変がないようであれば、中に入って更に様子を探ったり、リック達に会って話を聞く。状況に異変があるようであれば、直ぐにヒルトップに戻ってきて知らせると言う考えです。計画としては良いと思いますが、実際には計画通りにならない事が考えられます。しかし、計画通りにいかず、予期せぬ展開や危険な状況になった場合、ジーザスとアローンは臨機応変に対応できるスキルを持っています。ダンテとSiddiqが心配ですが、ジーザスとアローンと一緒のため、チームで行動すれば上手く機能すると思います。結果的にこの人選は、ベストに近いものです。マグナは、今回のような任務はヒルトップの人材の方が適していることも考えて、Siddiqに行かせたと思われます。
Siddiqとヒルトップのメンバーが出発しようとしている所に、カールがやって来ます。カールは、リックのことが心配なので、自分も行くと話します。マギーは、反対しますが、カールは、自分を縛り付けて閉じ込めない限り、行くと言います。今回の様な任務には、カールは基本的には適しませんが、カールの思い切った行動力は結果的にプラスとなる可能性があります。また、カールは予想外の行動を取る可能性があります。カールが参加することで、ストーリー展開が予想しづらくなったり、話の展開がさらにダイナミックになる効果があります。
カールが出発しようとする所にリディアが現れます。カールは、リディアにリディアがカールの顔の傷を隠さないようになった理由を作ってくれたことと二人がモンスターだと言った事の意味を説明します。リディアも納得して、カールと和解します。カールは説明が上手です。また、人の心に伝わる話をすることができます。この様な所は、リックのリーダーとしての資質、才能を受け継いでいると言えます。
コモンウェルスのガード達が任務を終えて、ロッカールームで着替えている所に、Mercerがやってきて、話をします。現指導者、パメラミルトンと彼女の友達のために命を賭けるつもりがあるのかと、ガード達に聞きます。指導者達が、多くの住民の不満を抑えて、階級社会を維持できるのは、ガードがいるためだと説明します。現指導者のやり方でなく、より良い仕組みで運営する指導者に変えることができる。それを素早く平和に行うことができると話します。そこに、ランスがガードを連れてきて登場します。
そこで、187話は終わりますが、ランスがクーデターを計画していたとして、Mercerを連行していくことはほぼ確実です。しかし、その後の展開がどうなるのかは、分からないところがあります。
住民達だけでなく、ガード達の間でも、コモンウェルスの運営の仕組みや指導者に対する不満は鬱積しています。Mercerは、ガード達から慕われ、人望があります。Mercerが連行されて反逆罪に問われるような事になれば、ガード達が反乱を起こす可能性は高まります。パメラは優秀な指導者であり、さらに、ガード達を抑えるための何か切り札を持っているのかもしれません。
Mercerがガード達に呼びかけを行った所にタイミング良くランスが現れたことは、Mercerが動くかもしれないということを予期していたことを表わしています。一つの可能性は、ミショーンがパメラに、Mercerがリックと話をしたことを伝えていたために、パメラがランスにMercerを監視するように指示していたことが考えられます。
ローラは、Mercerが連行される可能性もあることを予測していたかは不明ですが、Mercerが連行された場合は、ローラがガード達をまとめてMercerを救助しようと動く可能性もあります。ローラは、頭が切れ、行動力もある女性です。Dwightが達成できなかったコモンウェルスの政権の転覆と置き換えを自分が代わりにすることを考えている可能性があります。ローラが、影で動いていることを、パメラが知った場合には、ローラの身に危険が迫ります。
ローラはDwightと違って、住民を扇動したり、指導者を殺害するというような過激なことはせずに、誰も傷をつけずに、平和的に政権交代を画策している可能性があります。そのローラの考えと行動をリックが知った後で、ローラが死ぬような事が起きた場合は、リックも行動を起こす可能性が高まります。
また、Mercerが連行された理由が、ミショーンがパメラに告げ口したためであるとなった場合には、リックは座視していることはできないと思います。ミショーンとの関係も更に悪化することは確実です。自分たちのコミュニティーの人間が、他のコミュニティーの運営に介入することはリックは望んでいないと思います。そして、Dwightやローラをリックは抑えることができます。しかし、Mercerはコモンウェルスの人間です。Mercerを抑えることはリックにはできません。
一方、Mercerは自分が平和的クーデターを提案することを事前に察知されたのは、リックがパメラに話したためと誤解する可能性もあります。
プリンセスは、混乱が起きる前にコモンウェルスから立ち去る予定でしたが、Mercerが連行された場合には、予定を変更して、コモンウェルスに留まり、過激な行動を取る可能性があります。プリンセスが関わってくると、話の展開の不確定要素が高まります。プリンセスが、行動を取る可能性も高いです。
これらの可能性が実際に起こるのか?起こった場合に、どの様に展開したり、人々に影響を与えるのかは、分かりません。さらに、マグナとマギーが送った偵察部隊も、混乱に巻き込まれる可能性が高いです。
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Kindle版は、1話単位で購入できます。価格も比較的廉価です。
ストーリーを楽しみながら、英語に馴染む素材としたり、英語の勉強を兼ねて読むのも一つの選択肢です。その様な楽しみ方のサポートをできればと考えて、本サイトでも1話ごとのあらすじと感想、考察の記事を投稿しています。
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187話で登場する英語のイディオム
fly off the handle
ミショーンがリックにDwightについての話をしている中で、”That man was a loose cannon to say the least. He had already flown off the handle the day before.”と言う箇所があります。
“fly off the handle” は、誰かが行ったことや言ったことに対して、怒り狂って行動するようなことの意味を持つイディオムです。直接的な意味としては、手がつけられない(制御できない)となります。
“loose cannon”は、直接的には、壊れた(緩んだ)大砲の意味で、「暴発する」、「暴走する」様な行動を取る人を喩えるイディオムとして使われます。
上で引用したミショーンの発言は、「あの男は少なくとも壊れた大砲、いつ暴発しかねないものだったと言えるわ。彼は、とっくの昔から手がつけられない、制御不能の過激な行動をしていた。」と言うような内容の意味になります。コミュニティーの同士であり、共に戦ってきた人に対して、あまりにもと思うような発言です。ミショーンの現在の立場と考えを如実に表しているとも言えます。