表紙は、爆発が起こっている建物の脇にいる戦闘態勢の3人組です。先頭にいる人物は、着用している服と雰囲気からローラのように見えます。タイトルは、”Lines Are Drawn”です。”Battle lines are drawn”は、対峙するグループの境界線が明確になり、対決が始まるという意味です。
あらすじ
列車の動力車のエンジンを調べているユージンとステファニーの背後に、ウォーカーズの群れが迫ってくる188話の終わりからの続きで始まります。
ユージンとステファニーは、エンジン部を見ながら話をしています。ウォーカーズの群れが二人に迫ってきています。
「そうだ。そのコネクターは、とても悪化しているように見える。無事に何とか、何らかの交換部品を見つけることができるだろう。」とユージン。
「そうね。私達のところ(コモンウェルス)には、機能させるためのものがあることは確かよ。」
「待って、あなた聞こえた?」
「おぉ、神よ!」とユージンが後ろを振り返って、驚いた顔で言います。ウォーカー達が目前に迫ってきています。
直前で、二人は列車から飛び降りて、ウォーカーズの群れから逃げ出します。
「急いで逃げるしかないわ!」
「多すぎる — こっちだ!」
二人の行く手にもウォーカーズの群れが迫っていました。二人は囲まれていることに気づきます。
「No, No, No– !」、「中に入って — 落ちつくんだ。」
ユージンがステファニーを先に列車の中に乗り込ませ、自分も続いて乗り込みます。
「急いで入って。動いて、動くんだ!」
ステファニーを列車に先に乗り込ませ、ユージンが乗り込んで、間一髪のところでドアを閉めます。
ステファニーは恐怖に取り憑かれて涙を流しながら、ユージンにしがみついています。
「あまりにも多い — 私はあんなに多くをこれまでに見たことない! 音が聞こえるだけでもすごい数だと分かる! 私達はここに閉じ込められてしまった — 罠にかかったのよ! 私達は死ぬわ!」
ユージンは、パニック状態のステファニーをなだめて言います。
「ステファニー、聞きなさい。彼らは外だ。我々は内側だ。この動力車は、強靭な鋼鉄製だ — 我々は安全だ。我々は、ここで死ぬことはない。」
「私は我々を(死なせる)ことをさせない。」と決意の篭った目をして、言います。
牢に閉じ込められたMercerに訪問者
牢内のベッドに仰向けに寝ながら、両手を組んで頭の後ろに回したMercerが頭を少し持ち上げて、訪問者に声をかけます。
「あぁ、ようやく最後に訪問する気になったやつを見ることになった。」
訪問したのはローラです。
「入念な準備を整えるために時間がかかってしまったわ。私は、誰があなたの本当の友達かを見つけ出さなければならなかった。
あなたをここから出すのは、かなり難しいことは分かっていたから、助けが必要だったのよ」
「それなら、あんたしかここにいないということで、俺には最近は沢山の友達がいないと言わなければならないな。」
「あなたは、驚くことになるわ。」、「簡単に説明するわ。あなたはその後ろの壁からできるだけ離れたいと思うようになるわ。」
ローラは鉄格子をつかんで、「私は単に言ってるだけではない — その壁から今すぐ離れるのよ!」
背後の壁に変化が起きていることをMercerは、察して驚きながら聞きます。
「待て — 何?!」
爆発が起こります。
コモンウェルスに近づいていたジーザス達一行のところでも、前方で爆発が起こっているのが見えます。爆音は轟いています。
建物の外にいるリックも驚いています。知事室にいたパメラとマクスウェルも爆音を聞いて驚きます。事務所で書類を見ていたミショーンも驚いた表情です。爆音を聞いてエローディーは外に出ようとします。中にいる友人が、「エローディー、待って!」と声をかけます。
Mercerの背後の壁が爆発で吹き飛ばされています。鉄格子もひしゃげて曲がって開いています。Mercerはうつ伏せに横たわって、彼の背中には瓦礫が乗っかっています。
「あんたは、俺を殺すつもりだったのか?!」
ローラも尻もちをついて驚いた表情をしています。「オーマイゴッド!オーマイゴッド!ごめんなさい!」
ローラは立ち上がって、「あなた、大丈夫?」とMercerのところに行きます。
「耳鳴りが止まるのであれば、俺は生き残れるだろう」とローラに抱えられて起き上がろうとしながら言うMercer。
「本当にごめんなさい。あの男は、やり方は分かっていると言ってたのよ。」
「男? どんな男だ?」
大きく開いた壁の穴から、アーマーウェアを着たジョージがヘルメットを手に抱えて、笑顔で現れます。
「すまない!本当にやりすぎてしまった!壁を倒したかった。ほとんどすべて崩れ落ちてしまった。」とジョージ。
「お前がやっと正気に戻ってくれて、嬉しいよ」とMercerがジョージに駆け寄ります。
「俺の立場を分かって、勘弁してほしい。ランスが現れた時、誰が俺たちの側でそうでないかが分からなかった。もしも、俺があんたの牢の隣にいる事になったら、あんたに何も役立つことはできなかった。」とジョージが言います。
「十分だ。それで、これからの計画は?」とMercerがローラに聞きます。
「それは、とても簡単よ。本当に… 」と不敵な表情でローラが答えます。
「私達は、兵隊を招集して、コモンウェルスの人々に自由をもたらすのよ。」
3人は、外に向かって走っていきます。
パメラ達を助けようとするリック
「あなたは、行かなければならない!今すぐだ!」とリックが知事室のドアを開けて、慌てた表情でパメラに言います。
窓のそばに立って、マクスウェルと一緒に外を見ていたパメラが振り返って、「リック?! 気でも狂ったの?!」と厳しい顔で答えます。
リックは、パメラに走り寄って「私はあなたを助けようとしているんだ!」と言います。
「これは正気の沙汰ではないわ — 何から私を救うというの?」と怒った表情のパメラ。
「どこで爆発が起こったか分からないのか?あれは、刑務所だ。– そして、誰をあんたは、そこにちょうど入れたところだ?」
「Mercerが開放されたんだ — 可能な限り最も明確な激しいやり方でだ!そうすることで、あの様な強行な手段に出ることを人々が行う自信を持たせる。
どうして私が真っ先にここに来たか考えてみるんだ!あんたのガード達はどこにいる?彼らは、あんたに敵対することにしたんだ。」
知事室の入り口にセバスチャンがやってきて、声をかけます。「ママ、誰かがドアを叩いている。まるで、ドアをぶち破って入り込もうとしているようだ — 何が起きているんだ?」
「私がここに来る時に、ドアをブロックしておいた。あれは、彼らだ。あんた達を狙って来ているんだ。手遅れになる前に、裏口のドアまで我々を導いてくれ!」とリックがマクスウェルに言います。パメラは呆然とした表情です。
マクスウェルが先に知事室から出て、「こちらです。」と言います。
裏口のドアに向かう階段を降りながら、パメラが「こんなことが起こるなんて信じられないわ。」と言います。
リックは、ドアをそっと開け「急いで出るんだ。」
ドアをでたところで、セバスチャンがリックに掴みかかります。
「誰かが何が起きているのか説明するまで、俺はここから一歩も動かない!
そして、誰があんたに指導されなければいけないんだ?!」
「反乱(革命)が勃発したところだ。私は、君の母親が生きてここから出られることを確実にしようと試みている。お願いだから、私の邪魔をしないでくれ。」
「反乱(革命)?!ここにいる誰も、俺達に逆らう様な気概は持っていない — やつらは、俺たち無しでは存在できないことを分かっている!
一つの小さな爆発で、この年寄りの男がパニックになっただけだ。」と意に介さない表情でセバスチャンが言います。
「全ての人々が、お前を憎んでいる!君達の家族は、ここにいる人々を利用している!君達は、彼らをクソのような存在として扱っている!そして、お前はそれらの人々の中で最悪な輩だ!」
「しかし、お前がしてきたことが、死に値するとは思わない!それが、お前たちを助けようとするたった一つの理由だ!」と、リックはセバスチャンの首を手でつかんで言います。
後ろにいるパメラが、リックの肩に手を乗せて、「リック、私の息子を離してあげて。」
リックはセバスチャンから手を離します。セバスチャンはうずくまっています。不服そうな表情で無言です。
建物の間に身を潜ませているリック、パメラ、マクスウェルとセバスチャン。表の通路を、ガード達が通り過ぎます。
ガードが去った後で、4人は建物の間から走り出します。
「あんた達が隠れるのに、どこか良いところがあるか?」とリック。
「この周辺にはないわ。私達は、グリーンビル(Greenville)に行く必要がある。Clorisが、私達を匿うことができる。」とパメラ。
「街から出るのに最も早い方法は?」とリック。
「私についてきて下さい。」とマクスウェル。
マクスウェルの先導で4人は街を出て、グリーンビルへの道に入り、歩き出します。
一行の最後にいるセバスチャンが後ろを見て、「あの、リック?」と言います。
後ろから来たのは、馬に乗ってやってきたジーザス一行でした。
「ワォ、あなたはここを本当に混乱させているようですね。」とジーザスがリックに言います。
「私は全く正反対のことをしようと試みていることを誓うよ。事実、君の助けが本当に必要なんだ。」と穏やかな表情でリックが答えます。
「おぉ、挨拶を交わす時間すらないと言うことですね。悪い状況に違いない。それが何にせよ、私はあなたの為にここにいる。」と余裕の表情でジーザスが言葉を返します。
「これらの人は、危険な状況にいる。君とアローンは、彼らが行こうとしているところに連れて行って欲しい。彼らは行き方を知っている、しかし、君達に彼らと一緒に今すぐ行って欲しい。
ただ… 彼らと一緒にいて、私からの連絡を待っていてくれ。」
「OK、急を要する事は分かった。君達、私は君達の馬が必要となる。直ちに移動するので、これらの人達に馬を渡してくれ。」とジーザスが、一行のメンバー達に言います。
ユージンとステファニー
動力車の中にいるユージンとステファニー。ウォーカーズ達がドアのところにいて、窓に手が見えます。
「彼らは居続けている — あなたは、彼らは最終的には動き出すだろうと言ったわ。」
「彼らの多くが私達を見てしまった — 彼らは、我々がここにいるのを知っている。」とユージン。
「私は — このようなことにはこれまで遭遇したことがない — 囲まれてしまっていることなんて今までに経験したことはないわ。
私は平静を保つことができない — 私はただ — 私はただ — 」
「大丈夫だ。私に考えがある。ここから我々を外に出す。」と言って、ユージンは車内にある消化器を見ながら言います。
ユージンは消化器を手に取り、蓋を外します。
「待って — あなたは何をしているの?」
「ただ私を信じてくれ… 」
ユージンは列車の壊れた窓から外にいるウォーカーズに向かって消化器を噴射します。
消化器を噴射して泡をウォーカーズに付けながら、ユージンは消化器の噴射レバーをオンの状態で維持するように接着テープ巻き付けています。そして、ウォーカーズの群れ向かって消化器を投げます。
消化器は地面に落ちても噴射を続けています。消化器の噴射によって、ウォーカーズの群れも注意をそらされています。
「OK — 彼らは消化器に向かっていく — 彼らを我々から引き離していく。
我々は、静かにして、ただ待っている必要がある。
少しすると、我々の周囲にギャップができる。完全にクリアになるわけではない。しかし、我々は隙間を縫って、素早く静かに抜け出すんだ。
我々は家に帰ることができる。– 我々は安全になる。分かったね?」
「できるかどうか分からない。– 不安よ。ユージン。」
「私もそうだ — しかし、我々はこれを行う。そして、それはうまくいく。なぜなら、私はこれを以前も行ったことがあるからだ。」
「かつてアレクサンドリアで — 我々はまだ住み始めて少しか経っていなかった時、その前までは、我々は場所から場所を移動していた。いつも、デッド達に翻弄されていた — または、もっとひどい状態だった。
壁が倒壊した、その場所は、ローマーズ(ウォーカーズ)で埋め尽くされた。我々は避難する(逃走する)予定だった — 私はただ逃げ出したかった。
しかし、リック、彼は我々を導いた — 我々は一丸となって、互いに守り合い、そして、我々は反撃した。」
「その日から、我々は逃げ出すことを止めた — 我々はアレクサンドリアに根をはり(定住の地として構え)、そしてそこに留まるために戦った。
その日、私は自分が抱える恐怖を制御し — 使用することを学んだんだ。恐怖、怯えは残っている — しかし、それは私を鋭く保つ道具となる。」
「あれらのアンデッドの奴ら(ウォーカーズ)は、恐ろしい。しかし、彼らは動きが遅い、そして、そのことを理解するんだ。彼らは馬鹿だ。」
「我々は彼らに勝つ。共にやる。リックが私に教えてくれたように。私の言っていることが分かるかい?」
「ええ。」
「よし。あの消化器がそろそろ空になるころだ。今だ。」
「今?」
二人は列車のドアを開けて外に飛び出します。周囲に残っているウォーカーズには消化器の泡が付いています。
「そばを離れないで — 静かに進むんだ」
近寄ってくるウォーカーの頭を、ユージンは持っているナイフで刺します。
「いくぞ!、いくぞ!」
「我々はクリアになった — 走れ – 走れ!
彼らの多くに我々を見られる前に彼らの視界の外に出るんだ!」
リックとカール達
リック、カール、Siddiq、ダンテ、プリンセスが歩いています。
「お前は、ここに来るべきではなかった。」とリックがカールに言います。
「どれ程、悪いの?」とカール。
「分からない… 悪い状況だ。そして、更にどれ程悪化するか分からない。
ここにいる人々は… 何年もの間、緊張が続いていた。そして、それが最終的に爆発(勃発)した。」
「僕にできることは何?」
リックは優しい目で微笑みます。
「カール… お前は何をしろと私に言われる必要はない。
時が経てば、お前は分かる。」とリックはカールの背に手を当てて言います。
カールは無言で微笑みます。
二人の前には煙が立ち上るダウンタウンが近づいています。
「我々は、何がどうなっているかを知るために街に戻るべきだ — 」
ダウンタウンの状況
ガードによって、建物の外に連れ出されるランス。外には武装したガード達がいます。
「どこで彼を見つけた?」とMercerがランスを捕らえたガードに聞きます。
「彼の部屋 — ベッドの下です。」
「ガバナーミルトンはどこだ?」とMercerがランスに質問します。
「もし、私が知っていれば、私は彼女と一緒にいる。馬鹿野郎!」
「くそ、ランス、我々は — しなければならないことが –」
「暴君め!」とMercerに対して避難する声がかかります。
「それらの人々を退かせろ!」とMercer。
人々が路上に集まっています。ガードが人々を静止させています。
「ファシスト!(独裁者)」
「直ちに解散しなさい! 家に帰るんだ — そうでなければ、我々は力を行使するしか選択肢がなくなる。」とMercerが住民達に警告します。
Mercerの頭に住民が投げつけたワインボトルが当たり割れます。Mercerは、頭から血を流しながら、痛みをこらえて、頭を手で抑えています。そして、空に向かって銃を発射します。
「次は撃つぞ。命が無くなる。解散しろ!」と額から流れる血を片手で押さえながら、住民たちに銃を向けてMercerが言います。
住民たちは下がっていきます。
Mercerとリックの会話
Mercerの後ろからリックが声をかけます。
「Mercer — 何をしているんだ?」
「あんたがすべきことをしているんだ。俺は、ここの人たちを助けようとしている。」
「あれ(銃で威嚇して人々を退散させたこと)は、助けているようには見えなかった。」
「人々は、俺を信用していない。彼らは我々と対決しようとしている。
俺のガード達が最近してきたこと全ての後で — 彼らは、我々が何らかの政権転覆を図ろうしていると思っている。そして、今、状況は悪化しそうになっている。」
「周りを見てみなさい — 彼らは正しい。」
「…」Mercerは目を閉じて黙っています。
そして、目を開けて手を広げて、「俺は、難しい状況に巻き込まれてしまっている。– 溺れ死にそうになっている。
おれは、あんた無しにこれをすることはできない — あんたの助けが必要だ。
彼らが、ガバナーミルトンより俺を選ばなかったとしても — 彼らは、あんたを選ぶかもしれない。」
「… 」無言で困惑が混じった思案気な顔をするリック。
感想と考察、今後の注目点
188話でウォーカーズの群れが、電車の動力車のエンジンを調べているユージンとステファニーに迫っているとことで終わり、本話はそこからの続きで始まります。
ユージンとステファニーは、ウォーカーズの群れが迫っていることに直前で気づき、動力車の車内に避難します。ステファニーは、怯えてしまいますが、ユージンはステファニーを慰めます。
ユージンは、ウォーキングデッドのストーリー展開において、重要な役割を果たす人物なので退場はないだろうと思っていましたが、結果的には全く問題なく危機を乗り越えてしまいました。しかし、脱出までの過程の中で、怯えるステファニーに対して、ユージンがかつて自分も恐怖に取り憑かれて逃げ出そうしたかったこと、リックが導いて教えてくれたことなどを説明します。実際にユージンは、リックと出会って、共に行動することで人間的にも成長し、彼の潜在的な才能、資質を伸ばしてきています。その様な登場人物のキャラクターディベロップメントも見事に描かれているのがウォーキングデッドの魅力の一つです。
今回のユージンの話では、リックしか述べられていませんが、ユージンがウォーカーズに囲まれて本人も逃げ出すことを諦めた時に、身の危険も顧みずに、アンドレアがユージンを助け出しました。アンドレアが助けに来た時も、ユージンは、自分はできないと弱音を吐き続けていていました。アンドレアはユージンを助け出すことができたものの、アンドレはウォーカーズに噛まれてしまい、退場することになってしまいました。
リックの最愛の妻、アンドレアを失わせる原因を作ってしまった悔いもユージンの心の中に深く刻まれていると思います。しかし、アンドレア本人もリックもユージンを全く責めることはせず、逆に自分のせいだと言うユージンをたしなめています。アンドレアの話は、ここではユージンは語っていないことも、好感が持てます。(本当に重い話なので、余程のことがない限り、話すようなことではないと思います。)
188話でランスがMercerを捕らえようとした時、Mercerが抵抗の構えを見せた時、ガード達が誰もMercerに同調しなかったことが釈然としないと感想と考察のところで書きました。
ランスがロッカールームに入ってきた時、Mercerが最初抵抗する態度を取ったにも関わらず、ジョージを含めてガードは誰もMercerに同調しなかったことです。
ガードから人望があるMercerをランスが逮捕しようとした場合、ガード達がMercerを守ろうとする可能性は十分にあったはずです。ガード達がMercerと一緒に抵抗した場合、逆にランスの身が危なくなります。しかし、実際にはガードが同調せず、そのことにMercerは驚き、ランスは驚いていないことから、ランスはガード達がMercerに同調しないことを事前に分かっていた可能性が高いです。
今回、ジョージがガード達の誰が同調するかしないか分からなかった。自分もMercerと一緒に捕まってしまったら、Mercerを助け出すことはできなかったからと説明しています。
ジョージがそう考えていたとしても、誰もMercerを助けようとしなかったことは少し不自然な様に思いますが、その場特有の雰囲気で誰も抵抗(同調)しなかったとも考えられます。Mercerが捕まった時には、ガード達は誰も抵抗しませんでしたが、本話の内容からガード達のほとんどは、Mercerに従って行動していることが分かります。
ローラがジョージと話をして、Mercerの救出を計画して実行しました。ローラの計画は、牢を爆破することで、住民達にも現政権を転覆させるためにガード達が立ち上がったことを伝達する意味を持たせていることを示しています。リックは、爆発音を聞いて、すぐに爆発が意味することを理解して、パメラを助けようと直ちに彼女の事務所に行きます。
パメラは状況が急速に悪化し、彼女自身に危険が迫っていることを認識していませんでしたが、リックの説明と建物内にガード達が侵入しようとしてきていることを知って、リックについてコモンウェルスのダウンタウンから出て、身を隠すために、グリーンビルに向かいます。グリーンビルに向かう道に入ったところで、ヒルトップからコモンウェルスの様子を見に来たジーザス達に出会います。
リックは、突然登場したジーザスに挨拶も省いて、パメラ達を連れて行って欲しいと頼みます。ジーザスもリックの様子から、状況を即座に理解して、直ちに行動に移すことにします。ジーザスは、百戦錬磨で数々の危機や困難に立ち向かい、克服してきた同士であり、リックとは阿吽の呼吸です。この様な状況において、リックにとって、ジーザスは最も頼りになる存在だと思います。
パメラ達をジーザスに任せて、リックはダウンタウンに戻ることにします。カールとも久しぶりの再会でしたが、再会を喜び合うシーンはなく、直ちに歩きながら、これからどうするかについての会話となりました。リックとカールの会話から、リックは既にカールを一人前の男としてみなして、接しています。カールもリックの態度などを見て、嬉しそうにしています。
Mercerは、ガード達の多くの支持を得て、ゴードを率いてパメラ達を探しています。ランスを捕まえたところで、集まってきている住民達から非難されて、ワインボトルをぶつけられたりしています。Mercerは銃を空に向けて撃って威嚇して、住民達を退去させますが、頭にボトルを投げつけられても、住民達に暴力を振るうことはしないところは、Mercerが人格者であり、冷静な判断力を持っているところを示しています。
しかし、住民達はMercerに同調するような状況にはなっていないことは、Mercerにとっては誤算だと思います。Mercerに対してと言うよりも、ガード達に対する住民の不満が鬱積していることを示しており、その点についても、Mercerは住民の心理を理解し始めています。
Mercerが銃で住民を威嚇して、退去させたところでリックが登場します。Mercerは、リックがすべきことを自分がしている。コモンウェルスの人々を助けようとしていると言いますが、リックはそのようにはなっていない。周りを見てみなさいと諭します。Mercerも状況を理解しています。そして、Mercerは、リック無しでは自分(達)はコモンウェルスの問題を解決することはできない。住民がガバナーミルトンではなく自分を選ばなかったとしても、リックを選ぶかもしれないと言って、リックに助けを求めます。
Mercerの懇願に当惑しながら思案にくれる表情のリックで189話は幕を閉じます。<
今後の注目点
本話では、Mercerがガードを率いて、現政権を転覆する行動に出たが、住民はそれを支持しなかったという状況が描かれていますが、状況はさらに複雑で込み入っているところがあります。現政権に対する不満を持つ人々は、ガード達に対しても不満を持っているため、Mercerが率いるガード達に反抗する姿勢が描かれました。
コモンウェルスの住民達の間では、現政権への不満を持っている人が多数いることは明らかです。その一方で、現政権による階級社会の恩恵を得ている人も少なくありません。今後、住民間も二分されて、対決が始まる可能性が高いです。
ローラは、本話の後半には登場しませんでしたが、Mercer率いるガード達の反乱が進行しないため、現政権に対する住民の鬱積した不満を爆発させようとローラが動く可能性もあります。住民達が二分されて、内戦状態になることをリックは危惧していますが、そうなってしまう可能性は少なくありません。
Mercerから助けてほしいと懇願されて、リックがどの様に動くのかが一つの注目点です。考える間もなく、次々に色々なことが起こってくる可能性もあります。(高いです。)
Mercer率いるガードが、政権を掌握してクーデターを成し遂げれば、パメラ達はグリーンビルに避難しておとなしくしている可能性も高いですが、Mercer達も思ったようには事態が展開しないため、パメラ達も動き出すことも考えられます。
現政権のパメラを頂点とした指導者達と現政権派の住民、Mercerが率いるガード達、現政権反対派の住民のグループ間の摩擦が高まり、衝突が起こり始める中で、混沌とした状況に巻き込まれながら仲裁しようとするリックがどの様な行動を取るのかが注目されます。
英語版ウォーキングデッド コミック 189話
Amazonでは、原語の英語のペーパーバックやKindle版もAmazonで入手できます。ウォーキングデッド、オリジナルコミック189話(英語)は、Kindle版で購入可能です。
Kindle版は、1話単位で購入できます。価格も比較的廉価です。
ストーリーを楽しみながら、英語に馴染む素材としたり、英語の勉強を兼ねて読むのも一つの選択肢です。その様な楽しみ方のサポートをできればと考えて、本サイトでも1話ごとのあらすじと感想、考察の記事を投稿しています。
英語版のペーパーバック、またはKindle版を入手して、本サイトの記事をコンパニオンとしてご利用頂ければ、幸いです。
189話で使われている英語のイディオム
get/have ones ducks in a row
牢にいるMercerのところをローラが訪れた時、Mercerから今頃来たのかと言われて、”Took me a while to get my ducks in a row. I had to find out who your friends really were.” と答えます。
“get/ones ducks in a row”は、何か行動を起こすために入念な準備を行うと言う意味のイディオムです。
直接的な意味としては、アヒルを横一列(行)に並べるということですが、それをするためには簡単ではない、入念な準備が必要ということから来るものと思われます。
Cut someone some slack
救出しに来たジョージに、Mercerが駆け寄って、”Glad to see you came to your senses.” (やっと正気に戻った(いつもの)お前に会えて嬉しい。)と声をかけたのに応えて、”Cut me a little slack, man. With Lance there, I didn’t know who was on our side and who wasn’t.”と言います。
“cut some some slack”は、ある人(達)の行動やパフォーマンスが、普段通りではないのは、難しい状況に置かれていたためであると分かっているので、あまり批判しない(責めない)ことを意味するイディオムです。
be in over ones head
Mercerが、リックに周りを見てみなさい。(ガード達に対峙して反抗的な態度をとる住民達を見てみなさい。)と言われて、しばし俯いて無言で考え込むようにした後、リックに、”I’m in over my head here — I’m drowning. I can’t do this without you — I need your help.”と言います。
“be in over ones head”は、自分では解決(脱出)できない難しい状況に巻き込まれてしまったことを意味するイディオムです。